クイズ王の部屋

〈早押し〉必ずしも最重要情報を盛り込まなくてもよい。

まずは、適当に早押しクイズの例題を一つ。

【問題】黒澤明監督の映画『夢』ではマーティン・スコセッシによって演じられた、有名な画家は誰?

【答え】フィンセント・ファン・ゴッホ / ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ

そういえば、昔の某クイズ番組で、「フランス語では「ゴーグ」、オランダ語では「ホッホ」と呼ばれる画家は? 答:ゴッホ」(※記憶のみを頼りに再現)という問題が出てたなあ。

画家ゴッホについて、誰もが知っていることといえば、代表作『ひまわり』あたりだろうか。
あと、ポール・ゴーギャンとの交流とか、自らの耳たぶを切り落としたこととかが、比較的よく知られているだろう。

で、上記のゴッホが答えのクイズには、問題文に『ひまわり』も「ゴーギャン」も含まれていないのだが、そのことについてイチャモンをつける人はあまりいないだろう。まあ、「『ひまわり』とか言ってくれたら分かったのにぃ」とか言う人はいるかもしれないが。

クイズは原則として問題文の情報のみから答えを導き出すものである。

上記のクイズは、「ゴッホを知っているか」ではなく、「ゴッホに付随する情報を知っているか」を趣旨としている。問題文に『ひまわり』を入れてしまったら、出題のねらいが変わってしまう。

さて、本題に入ろう。

「長文クイズ」にまつわる錯覚の一つに、答えに関する重要な情報を問題文中に入れなければならないというのがある。

そこそこ有名人の人名が答えとなっている長文クイズで、その人物についての最重要事項が問題文から抜けていた場合、つっこまれるのは必至だ。
しかし、上記の例題からも解るように、短文クイズなら言及しなくていい「重要な情報」を、長文クイズでは必ず言及しなければいけないというのは、考え方としておかしいと言わざるをえない。クイズ界の人々はみんなこのことに気がついていない。

長文クイズで、「答えの人物」を知っているかを問いたい問題であれば、その人物についての重要な情報を問題文中に入れるべきなのかもしれない。
でも、その一方で、必ずしも重要とはいえない限られた情報をいくつか並べて、その内容から人物名を導き出すというタイプの「長文」問題があったっていいではないか。

昔、誰かが「最近のクイズは、人名事典の説明文みたいな問題が多くてつまらない」と言っていた。問題文にメジャー(重要)な情報を盛り込まなければならないという縛りがある限り、それは仕方のないことだ。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です