山川出版社の用語集に記されている頻度は一つの基準にすぎない。

独自の発展を遂げ、いびつな知識体系を構築したクイズ界にあっても、「その道で有名かどうか」基準を重要視する考えは根強く生きながらえている。
重要度の低いどうでもいいネタはなるべくクイズ化しないように心掛けているクイズ屋も多いだろう。

気をつけなければならないのは、重要度・有名度の基準は一つではないということだ。

例えば、歴史。すなわち、日本史・世界史。

大学受験科目としての日本史と、歴史マニアが好む趣味としての日本史とでは、知識の内容が大きく異なるのである。

大学入試に頻出でも、歴史好きの琴線に触れない用語は多々あるし、逆に、歴史好きの間では広く知られている戦国武将の面白エピソードや、時代小説によく登場する人物が、教科書には載っていないということもある。
だから、教科書に書かれていないから重要ではないと決めつけてはいけないのである。

日本史や世界史を勉強する受験生の間ではメジャーな山川出版社の用語集には、各用語に丸で囲んだ数字が付けられていて、その数字を見れば何種類の教科書にその用語が掲載されているかが分かるようになっている。
数字が大きければ多くの教科書に載っているということなので重要用語だと認識できるというわけだ。

そんなに多くはいないと思うが、クイズ界にも受験生時代にお世話になった山川出版社の用語集をクイズ問題作成時に参考にしている人はいるにちがいない。そんなクイズ屋たちにはぜひ、丸数字で示された頻度を気にしすぎないようにしてもらいたいものだ。

もう20年ほど昔のことなので細かいことは忘れてしまったが、あるクイズ屋が自分の担当したサークルの企画で、その共同企画者が出題した問題(ボツ問を含む)のいくつかについてコラムで意見を述べており、そのうちの一つに、「春帆楼は山川の用語集に無いから有名ではないのではないか」(うろ覚え)というのがあった。
これこそ山川基準の弊害だ。
「春帆楼(しゅんぱんろう)」は教科書には載らない単語かもしれない。だが、歴史マニアなら知っていてもおかしくない単語だ。近代史関連の本をよく読む人なら出会うのは難しくない用語だ。

有名かどうかの判断を山川の用語集に委ねる必要はない。
自分の基準で決めればいいのである。

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